音大生のみなさん、今日も練習お疲れ様です。
この記事では、プロの演奏家を目指していた私の2年間のフリーランス生活を詳しくお伝えしていきます。
「音大卒業後の進路に迷いがある」「実際どんな生活になるのか知りたい」そんな方に読んでほしい記事です。ガチの現実です。
このブログの管理人 頭空っぽさくら です
関西の音楽大学で管楽器を卒業後
フリーランス奏者として2年間活動しました。
私のリアルな体験談をシェアしていきます!
この記事ではこんなことを書いています。
- 音大卒業後リアルな生活、お金と生活リズム
- フリーランスの生活に後悔はしていない
音楽大学を卒業してもプロの演奏家になれる人はほんの一握りです。それは重々承知の上で進んだ道ですが、やっぱり現実は厳しいものでした。
この記事がプロの演奏家を目指すあなたの反面教師となりますように。
音大卒業後のリアルな生活
まずは精神的にも体力的にもしんどかった毎日の生活についてです。
私は地方出身のため、音大生時代は学生寮で暮らしていました。
卒業を機に一人暮らしを開始。家賃は5万3千円です。
前提条件
- 一人暮らし
- 冒頭半年は練習環境無し、7か月目からは防音室あり
音大生の卒業後の進路※私の体感
ちなみに大学の同期たちの卒業後の進路は
私の体感で フリーランス4割、教員4割、就職1割、進学1割
といったところでしょうか。
これは学校や専攻によってかなり差が出ると思いますが、
”演奏活動を続ける人”と”仕事に就く人”の割合が5割ずつになるという点では
全国の平均とおおよそ違わない結果となっています。
1年目:バイト三昧
そんな流れでまずはフリーランスや!と意気込み、意気揚々と卒業しました。
ただ(演奏の)仕事があるわけでもなく、学生時代からのアルバイトを継続して生計を立てることに。
最初からそんなに仕事が来ることはない、それは分かっていました。想定内です。
でもバイトばかりというわけにはいきません。
練習はしたいし、本番もある。
お金と生活リズム
だからシフトは頑張ってつめこんでも月18日程度、貰えるお給料は約14万円。
そこにダブルワークしていたバイトの給料2万円がプラスされ16万円。
手取りは約13万円、これが基本の私の生活費となります。
たまの(演奏の)仕事でもらえるギャラはバイトよりは良いものの
一発打ち上げに行ってしまえば手元に残るのはほんの少し。
レッスンやオーディションでお願いしたピアニストの方への謝礼
コンクールへの参加費などお金は一瞬で消え去ります。
ギリギリです…
- 9:00起床
練習うまくいけば3時間、ダメな日は1時間しか練習できません(怠け)
- 12:30バイトに行く
近所だったのでギリに行きます
- 13:00バイト開始
- 21:00バイト終了~帰宅
- 22:00夕飯
この生活、どうでしょうか。
甘いなぁ、もっとやれるでしょ、そう思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも私の精一杯はこれでした。
21時過ぎに暗い部屋に帰って来て自分だけのための食事を用意する、
これは思っているよりも虚しいことです。
そして音楽に集中するにはやはり体調が整っていることが必要です。
しかし、バイト掛け持ち、練習本番の毎日では気が付くと超連勤が生まれます。
私は最大12連勤を達成し、疲れ果て
これからは絶対に!!!週休2日にする!!!と心に誓いました。
これは心身の健康のために、ぜひ覚えておいてください。
2年目:非常勤講師
2年目からは高校の非常勤講師をすることになりました。
学生時代のつながり(コネ?)でご紹介いただき、務めることになったのですが
これが本当に大変でした。
もともと、人に教えるということ自体は
苦手ではなかったと思うのですが、本当に向いていませんでした。
お金と生活リズム
週2日の授業と土日の部活動。これで月に約13~15万円。
土日の部活動手当はほとんど出ないので自給換算するとバイトと同じくらいです。
そこにバイト2つを少しずつ組み込み、プラス3~4万円。
手取りは約15万円。
給料面は1年目よりマシになりましたが
精神的には最悪でした。
授業をするのが本当に嫌で嫌で、大きなストレスがかかっていたのだと思います。
前述した週休二日制は継続しています。にもかかわらず
休みの日は楽器の練習もできないくらい精神的に疲弊しました。
なんとか1年の任期は満了しましたが、もう二度と私が学校で働くことはないでしょう。
友人や知人には教員志望ではないけれど教員をしている、という人が多くいますが本当にすごいと思います。
私には無理でした。
なんとなく「非常勤講師できたらバイトより割も良いし♪」
と考えると思いますが(私はそうでした)
めちゃくちゃ向いていなくてマジでしんどくなる人もいる
のでお気を付けください。
フリーランスをやってみて、後悔はしていない
そんな2年間を経て、このままフリーランスで奏者を演奏家を続けていくことはできないと悟った私は、演奏家の夢はスッパリ諦めて音楽とは全く関係ない職に就きました。
しかし、この2年間のことを後悔はしていません。
…いや、後悔はほんの少ししています(笑)
”新卒の武器は一生に一度”
ただ、長年の夢の実現のために、自分の力を尽くしたこと、その上で自分にはたどり着けなかった、と実感できたことは大きな経験となりました。
もし挑戦をせずに音大を卒業し、就職していたら、ものすごく後悔していたと思います。いつまでも「自分はもしかしたらプロになれたのかな」「あのオーケストラに入れていたのかな」そんな未練を引きずっていたことでしょう。
月並みですが
やらずに後悔よりやって後悔。
フリーランスとして生活するのは普通に働くよりも、体力・精神ともにタフさが身に付きます。個人事業主のため確定申告もできるようになります。自分を売り込む力、空気を読んで物事を円滑に進める力、基本的な礼儀やマナー。私たちが音楽から得てきた武器は思っているよりも偉大です。
何かをひたむきに、一途にやってきた人間は強いです。
音大卒業までにしっかり準備をして覚悟を持って頑張ってください。
心から活躍を願っています!